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「保育士なのに保育園落ちた。」

 


 Yahoo! Japan ニュースの令和3年2月3日の記事で「保育士なのに保育園落ちた。」という記事があったので、気になって読んでみました。

 東京都内の認可保育園でフルタイムで働いている保育士さんが、昨年4月に1歳半の長女を自宅近くの認可保育園に預け、仕事復帰する予定だったそうです。行政への申請書類には希望する保育園名の枠を全て埋めて提出したにもかかわらず、一次選考の結果、全ての認可保育園に落ちてしまいました。神奈川県川崎市では保育士であることは選考での配慮の対象となっているのですが、その要件が「市内の教育・保育施設に勤務する」場合に限られていました。当該保育士さんは川崎市に居住していますが、お隣の東京都の保育園に勤務しているということで優先対象とはなりませんでした。仕方なく自宅近くの認可外保育園に子どもを預け仕事に復帰したそうですが、もし入所先が見つからなければ保育士を辞めていたかもしれないとのことでした。前日の2日、政府は一部の高収入世帯の児童手当を廃止するという閣議決定しました。廃止で浮いた費用は待機児童の財源に充てるということです。「待機児童解消を掲げるなら、同じ子育て世帯に身を切らせる前に上記の問題を検討すべきだ!」というのが当該記事の内容でした(詳しくは当該記事を参照してください)。

 仮に、川崎市に居住・勤務している保育士さんが同じ「利用調整」で選考処分を受けていた場合、川崎市に居住し東京都で勤務している保育士さんの当該不選考処分が憲法14条1項(「法の下の平等」)に反し違憲となるのではないか問題となりますが、利用調整はそれぞれの自治体の保育事情や社会的・経済的環境などさまざまな要因を考慮する必要があり、その判断は行政の広汎な裁量に委ねられているといえ、違憲とはならないと思われます。同様の理由で、「裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった」(行政事件訴訟法第30条)ともいえず、当該不選考処分の取消訴訟(同法第3条2項)や選考処分の義務付訴訟(同条6項2号)も難しいと思われます。

 当該記事も述べているとおり、「でも、これっておかしくない?」と思いますよね。行政書士の一人として、少しでもこのような問題を別の形で解決するお手伝いができないかと考えています。

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